132019.1209/07/277月27日、晴れ。歯医者に向かう途中にある坂道を、自転車を押して上っていて、なんとはなしに顔を上げたら、彼女がいた。いくらか伸びたらしい長い黒髪を風に揺らめかせたりして、裸足に、白いワンピース、背中には羽が生えていた。白い、彼女はこちらには気づかないで、おどるように坂を下っていく。あたしはもう少ししたら、坂を上りきるだろう。たとえばそれだけのことで よかったのだ。一年がたった。stay gold2019.12.13 06:4709/07/162019.12.13 06:21長い時間をあの子と過ごしたのに、なぜか顔も思い出せない。覚えているのは、春の気配がするあの夜にみた 傷ついたような、苦しまぎれに笑うような表情だけだ。「好きだ」あたしだけが、その言葉を聞きたくなかった。これは勘違いで、一時の過ちだと思いたかった。すぐに、忘れられると。なぜ人は行動に理由をつけたがるのか、意味を欲しがるのか。あたしを取り巻くすべては、まるで波のように押し寄せて、過ぎ去っていく。足跡を残しても、消えてなくなる。あたしは抵抗できず、流されていく。ずっとそうだったし、これからもそうやって続いていくだろう。思い出したように、煙草に火をつける。彼の栗色の髪と、同じ色をした瞳も、それを縁取る長い睫毛、大きな掌も。もう二度と、思い出さないだろうと思った。それでよかった。忘れる。そうすれば、波に逆らうものはない。窓から、煙を吐く。空に淀んで消えていく。それと同じように。彼が残したぬくもりの余韻を感じながら、ぼやけた空に目をやる。たしかに、夜明けはそこまで来ていた。0コメント
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