どこまでも青く、深く、射し込む光に手を伸ばす。まるで胎内のように心地よく、胎児のようになすすべもなく、与えられるものはそれだけだった。
stay gold
- 長い時間をあの子と過ごしたのに、なぜか顔も思い出せない。覚えているのは、春の気配がするあの夜にみた 傷ついたような、苦しまぎれに笑うような表情だけだ。「好きだ」あたしだけが、その言葉を聞きたくなかった。これは勘違いで、一時の過ちだと思いたかった。すぐに、忘れられると。なぜ人は行動に理由をつけたがるのか、意味を欲しがるのか。あたしを取り巻くすべては、まるで波のように押し寄せて、過ぎ去っていく。足跡を残しても、消えてなくなる。あたしは抵抗できず、流されていく。ずっとそうだったし、これからもそうやって続いていくだろう。思い出したように、煙草に火をつける。彼の栗色の髪と、同じ色をした瞳も、それを縁取る長い睫毛、大きな掌も。もう二度と、思い出さないだろうと思った。それでよかった。忘れる。そうすれば、波に逆らうものはない。窓から、煙を吐く。空に淀んで消えていく。それと同じように。彼が残したぬくもりの余韻を感じながら、ぼやけた空に目をやる。たしかに、夜明けはそこまで来ていた。
- 彼の車で、ずっと遠くまで行ったあたしたちは若くて、馬鹿で 朝がきても 置いてきた生活に向き合えなかった彼はあたしの肩を抱き寄せるあたしは本当のことを言われるのが怖くて 目を見れずにいた ごまかすように、もう帰ろうと言ったその胸の鼓動を、彼は 自覚していたと思う彼がまだあたしをすきでいることも それでも、もう夜が明けることも 知っていた 鋭く、寂しそうな眼差しが伝えたかったことは もうわからないけれど
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